立川病院

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椎間板ヘルニアの新しい治療法

整形外科医長 西山 雄一郎

腰椎椎間板ヘルニアの新しい治療法について

腰椎椎間板ヘルニアについては以前、一般的な治療法などについてコラムで書かせていただきましたが、今回のお話は腰椎椎間板ヘルニアの新しい治療法についてです。

腰椎椎間板ヘルニアはこちら

診断と治療

確定診断はMRIとなりますが、レントゲンで椎間板の高さが減少している場合や診察所見により疑いが高まる場合もあります。
治療は原則的には、薬物療法、理学療法、神経ブロック療法などの保存療法が中心となりますが、3か月間の保存療法を行っても改善しない場合や神経麻痺や膀胱直腸障害が出現している場合、または仕事の都合上や痛みが強く3か月間も待機できない場合には手術を推奨します。
手術は一般的にはLOVE法といって一部骨を削った後に脊髄をよけてヘルニアを切除する手術を行います。手術後は1-2日後には歩行練習、リハビリが始まり、入院期間は1-2週間程度です。
最近特殊な酵素を椎間板内に注入する新たな治療法も出てきており、また次回以降で詳しくお話したいと思っています。
足の痛みやしびれでお悩みの方は、ぜひ一度来院していただき、調べてみることをお勧めします。
以上腰椎椎間板ヘルニアについてのお話でした。

ヘルニコアとは?

新聞などにも掲載されたことがあり、ご存知の方も多いことと思います。この治療法は、ヘルニコア(コンドリアーゼ)という特殊な酵素を椎間板内に直接注入しヘルニアの元となる髄核を特異的に分解することによりヘルニアを縮小させる治療法です。2018年3月に世界に先駆けて日本で初めて承認され、8月から使用可能となった腰椎椎間板ヘルニア治療剤です。

治療は誰でも受けられるの?

ただしこの治療法にはいくつか注意点があります。まず①「保存療法で十分な改善が得られない症例」に限り使用可能であること、つまりまずは椎間板ヘルニアの原則的な治療法である保存療法を行い、十分な効果がない症例であることが必要です。次に②若年者(特に20歳以下)に対する有効性・安全性は確立されていないということ、③MRI横断像でのヘルニアのタイプにより使用可能な症例が限られること、④治療には入院が必要であること、⑤再投与はできないこと、最後に⑥日本脊椎脊髄病学会または日本脊髄外科学会認定の指導医のいる施設で、また治療に必要な設備が整っており副作用に対応可能な施設でのみ治療が可能であること、などです。ということで色々な制約はある治療法となっておりますが、当院では現在指導医(市原)がおり、設備も整っておりますので、安心して治療を受けることが可能です。

ヘルニコアに期待されることは?

通常これまでの椎間板ヘルニアの保存療法としては、薬物療法・理学療法・ブロック療法などが挙げられ、3か月間程度の治療期間が必要とされておりましたが、このヘルニコアは1か月間程度で効果が発現するとされており、保存療法期間の短縮や手術回避の効果が期待されております。しかしながら短期的な副作用あるいは長期的な副作用が発現する可能性もあるため、十分に説明を聞いた上での治療をおすすめします。
椎間板ヘルニアによる下肢痛やしびれでお悩みの方、またご興味のある方は、一度ぜひ来院していただき、相談してみることをおすすめします。
以上腰椎椎間板ヘルニアの最新の治療法についてのお話でした。