てんかんニューロモデュレーションセンター
Epilepsy and Neuromodulation Center
ニューロモデュレーションとは
ニューロモデュレーションとは、電気や磁気、薬剤などによって、神経の働きを調整(モデュレート)する治療法です。当センターは、脳神経外科・精神神経科・脳神経内科・小児科が連携して、あらゆる世代のてんかん患者さんに対する、診断から外科手術に至る包括的なてんかん診療に取り組んでいます。また将来的に、治療抵抗性うつに対するニューロモデュレーションも視野に入れています。 院内で定期的に合同カンファレンスを実施して、各科で担当している患者さんの情報を共有し、最新かつ最適な治療法を検討しています。また手術の適応、結果についても議論しています。 2024年に当センターは日本てんかん学会認定の研修施設へ登録され、てんかん専門医を目指す医師の教育・育成にもあたっています。当センターが主催して、年5回シリーズのてんかんセミナーも開催しています。 当センターには、多摩地域だけでなく、遠方からも多くのてんかん患者さんが来院されています。てんかん治療は長期に渡ることも多く、患者さん一人一人の治療目標を設定し、家族の関わりにも配慮しながら、生活の質の維持・向上につながる医療の提供を目標としています。
主な検査
てんかんの診断・治療に必要な検査は多岐に渡ります。当センターでは下記の検査を必要に応じて組み合わせて行っています。
[生理機能評価]
・脳波 てんかん診断には必須の検査で、大脳の電気的な活動状態を調べます。
・長時間ビデオ脳波 発作時の脳波を確認するため、入院して3日間くらい昼夜持続して脳波測定します。
[画像評価]
・MRI, CT てんかんの原因となる脳の形態異常を調べます。
・脳血流シンチ てんかんでは脳の血流異常が見られることあります。
[神経心理・高次脳機能評価]
てんかんは精神症状や知能、高次脳機能に影響することがあります。
外科治療
抗てんかん薬を複数内服しても発作が良くならない場合には、外科手術で発作が改善できないか検討します。手術による改善の見込みの有無や程度をさまざまな検査で評価し、手術によるデメリットも考慮した上で、慎重に手術の適応を判断し、患者さんに提案します。
当センターでは、主に下記手術を実施しています。
・焦点切除術 てんかんの始まる場所が限定されている場合には、その部分を切除することでてんかん発作の改善が期待できます。
・病巣切除術 海綿状血管腫やくも膜嚢胞などを原因とするてんかんに対して、原因となっている病変を切除する手術です。
・脳梁離断術 左右の脳をつなぐ脳梁を切断することで発作を軽減する治療です。特に脱力発作という転倒する発作に有効とされています。
・迷走神経刺激術 左頸部の迷走神経を電気刺激することで、発作の減少が期待できます。開頭手術ではないため低侵襲で、術後数日で退院可能です。あらゆるタイプのてんかんに適応となりますが、効果出現まで術後数ヶ月かかります。
受診希望の患者さんへ
すでに他院でてんかん治療を受けられている方、てんかんを疑われている方は、画像データや診療情報提供書を準備していただいて、下記担当医の初診外来を予約してください。まだてんかん疑いの段階で他院受診をされていない方は、直接てんかん外来ではなく、いったん他院を受診されるか、あるいは当院各科の一般外来をまず受診してください。
地域の先生方へ
てんかんの診断や治療に難渋されている患者さん、外科治療を希望される患者さんがいらっしゃいましたら、ぜひ気軽に地域医療連携センター経由の上、下記担当医までご紹介いただければ幸いです。
てんかんニューロモデュレーションセンター診療担当
脳神経外科
センター長・部長 杉山 一郎 (てんかん専門医・指導医)
医員 石原恵理子(てんかん学会員)
精神神経科
医長 須田 哲史(てんかん専門医)
非常勤 茂木 太一(てんかん専門医)
脳神経内科
部長 服部 英典(てんかん学会員)
小児科
非常勤 下郷 幸子(てんかん学会員)
てんかんでの受診をご希望の方は外来予約センターまでお問い合わせください。
※当院外来はかかりつけ医からの紹介状が必要で、完全予約制となっております。