立川病院

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あしうで

腕や脚のしこり

整形外科部長 鈴木 禎寿

腕や脚のしこり

『腕や脚のしこり』ということで、かかりつけの先生からの紹介で患者様が来院されます。腫瘍疑いと言われ皆、癌を想像して大変心配していらっしゃいます。腕や脚のしこりで悪性のものを肉腫と言いますが、実際は必ずしも多くはなく、日本全体で骨に発生するものが年間約500人、筋肉などに発生するものが年間約4500人と推定されています。(がん情報サービス: http://ganjoho.jp/public/index.html

しこりは腫瘍のほかにも、リンパ節の腫れ、粘液のたまるガングリオン、水がたまる滑液包炎、毛孔の詰まりから老廃物が蓄積し袋状となるアテロームなど様々なものがあります。今このコラムを見ている方の中にも自分の手足のしこりが気になる方がいるかもしれません。診察ではいつからあるか、大きくなっているか、痛みをともなうか、外傷などのきっかけがあるか、などをお聞きします。年の単位でゆっくり大きくなるものは良性、月の単位でどんどん大きくなるものは悪性、何もなかったところに急激に出現するものは炎症を疑うという目安があります。痛みと良悪性には、あまり関係ありません。また大きさ、硬さ、熱感の有無、浅いか深いか、動くか動かないか(周囲との癒着の有無)などを触って確かめます。

ガングリオンや滑液包炎を疑うときは、注射器で中身を吸い液体が出てくれば診断できます。その他の多くのしこりにおいてはX線検査やMRI検査、血液検査などが必要です。画像診断の結果、良性と判断できる場合は手術でとるか、引き続き様子を見るかは患者様しだいです。『ほっといても大丈夫ですか?』とよく聞かれますが、良性であれば命にかかわることはないという意味では大丈夫ですが、ほっといて将来困らないか?という意味ではよくわかりません。今はよくても徐々に大きくなり将来何らかの不具合が出るかもしれません。そう考えると小さいうちに切除した方が負担も少なく、治療も容易で得をする可能性があります。

画像診断で特徴がなく、良悪性が判断できないケースでは小さなものは診断と治療を兼ねた切除生検、大きなものは腫瘍の一部をサンプルとしてとる生検をお勧めします。摘出した腫瘍を顕微鏡で調べる病理組織検査を行い診断を確定します。

以上、『腕や脚のしこり』に対する診断のながれです。気になるしこりがあるようでしたら一度整形外科におかかりください。

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