上肢の外科
上肢とは、いわゆる手・指~肘~肩を含む部分を表し、上肢の外科は、これらの部位の外傷・疾患を専門的に取扱います。
外傷・疾患は、急性期のもの(主としてけがによる外傷)と、慢性期のもの(けがから時間が経過した外傷や、リウマチなどの慢性疾患)とに大きく分けられます。
急性期の外傷
急性期の外傷には、骨折や脱臼、腱や靱帯の損傷、血管や神経の損傷が含まれます。主に、受傷から2週間程度以内のものを、急性期として取り扱っています。
治療開始や手術を行う時期が、受傷から短期間であるほど治療がしやすく、治療成績も良いことが多いため、できるだけ早めの受診をおすすめしています。
当院では、上肢のあらゆる骨折・脱臼に対応しています。
特に、肩・肘や手首・手指など関節に近い部位の骨折は、関節の動きに関わるため、3D-CTなども用いて詳細に評価し、丁寧な治療を心がけています。骨折の治療には、髄内釘やロッキングプレート、MIPO(最少侵襲プレート固定法)や内視鏡視下整復術など最新の知見・技術を取り入れ、治療成績の向上に努めています。
腱や靱帯、血管・神経損傷の治療では、必要に応じて顕微鏡を導入したマイクロサージャリーも可能です。
慢性期の外傷
慢性期の外傷には、骨折の変形治癒や偽関節、急性期に治療開始できなかった腱・靱帯や神経の損傷などが含まれます。
受傷から2週間程度以上の時間が経過しても、治療の機会が失われるわけではありません。手術治療によって、ある程度の機能回復を期待することが可能です。
当院では、上肢骨折の変形治癒や偽関節に対応しています。骨切り術や骨移植術などを駆使して、骨を元通りに近い形や、機能的に適切な形に矯正します。人工関節を用いて対応することもあります。
慢性期の腱や靱帯の損傷では、単純に元通りに修復することは困難になりますが、損傷した腱・靱帯の代替となる腱や組織、あるいは人工腱などを用いて、元の機能に近い状態を再建する手術が可能です。
慢性期の疾患
慢性期の疾患には、リウマチに代表される慢性関節炎や変形性関節症などによる関節や手指の変形、キーンベック病やデュピュイトラン拘縮などの慢性疾患、神経障害や腱鞘炎などが含まれます。
リウマチや変形性関節症で、手指や関節の変形などが原因となって痛みや機能の障害がある場合、関節形成術や関節固定術、人工関節置換術などを行なっています。手指・関節の変形を矯正することや、痛みを取り除くこと、手の使い勝手を改善することが期待できます。
キーンベック病やデュピュイトラン拘縮などの慢性疾患では、それぞれの病態に即した治療を提案し、場合によっては手術を行います。
神経障害や腱鞘炎では、保存的治療を中心としながら、症状に応じて手術も行なっています。