立川病院

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脊柱変形 (側弯症と首下がり症)

整形外科医長 小倉 洋二

脊柱変形について

脊柱とは頸椎から腰椎とその下の仙骨、尾骨全体のことを指します。脊柱変形とは頸椎から胸腰椎に変形が生じる疾患のことです。最も一般的なのは胸腰椎の側弯症と頸椎の後弯症です。高齢化に伴い、患者数が増えてきている一方で、近年の手術器具・技術の進歩により治療が可能となってきました。

胸腰椎側弯症ほか

胸腰椎の側弯症は大きく2つのタイプにわけられます。10代の小児におこる思春期特発性側弯症(AIS)と加齢性変化によって高齢者におこる変性側弯症が一般的です。AISは痛みなどの症状がないことが多く、40-50度を超えると手術が必要になります。逆に成人の側弯症は角度が大きくなくても、痛みが出ることがあり、痛みの有無が手術の要否の判断材料となります。
近年増加しているのはフラットバックという疾患で、横から見て腰椎の並びが悪くなることで、重心が前よりになり、腰痛で立位の保持が困難になります。スクリューを用いて矯正し、腰椎の並びを正常に近くすることで脊柱全体の並びをよくします。(図1)手術後は約2カ月程度、コルセットを装着します。

首下がり症

頸椎は本来前方凸になるように並んでいますが、後方凸になってしまうことを後弯症といい、後弯症が進んだ状態を首下がり症とよびます。パーキンソン病などの内科的疾患に付随して起こることがあり、原病の治療で改善することもありますが、原因が不明な場合や、内科的治療で改善しない場合は手術適応となります。顎が胸にくっつくほど変形が進むと、飲み込みや呼吸に支障をきたすこともあるためです。また、前方が見られなくなり、転倒のリスクも高くなります。
手術は後方からスクリューを挿入して矯正しますが、それだけで不十分と判断した場合は、前方から変形が柔らかくなるように椎間板のリリースを行います。(図2)手術後は約1-2カ月間、カラーを装着します。

当科での取り組み

脊柱変形は一昔前は治療法が確立されていませんでしたが、近年、技術の進歩により治療可能な疾患となっています。脊柱変形は進行すると日常生活への影響が大きく、発症早期より適切な診断・治療が望まれます。首から腰にかけての姿勢の不良で歩行や生活に不便を感じる方はぜひ一度ご相談ください。