関節リウマチ診療
かつて関節リウマチに対する手術治療は当院でも頻繁に行われていました。しかし1990年代後半からメソトレキセートや生物製剤などの薬物療法が急速に進歩し関節破壊の抑制が可能となりました。その結果、かつてよく行われた腱・関節の滑膜切除術、股・膝などの大関節に対する人工関節置換術、上位頸椎亜脱臼に対する固定術などの手術は激減しました。一方これまで大関節・脊椎などの深刻な病変の陰で、患者自身が我慢してきた手足の病変に目が向くようになり、手足の変形矯正や機能回復を求める手術は逆に増加しております。当科は脊椎外科医、股関節外科医、膝関節外科医はもちろん専門医の少ない肩関節外科医、手・肘の外科医、足の外科医が勤務しており多数のリウマチ患者手術症例を現在でも数多く取り扱っております。
また2017年よりリウマチ内科医が当院でも診療開始しております。リウマチ性疾患は四肢や体幹の痛みで整形外科を受診しますが、なかにはリウマチ性多発筋痛症、乾癬性関節炎、脊椎関節炎、SAPHO症候群など薬物療法が中心となる症例も多数混在しております。リウマチ内科と連携し適切な診断・治療につなげていきます。
関節リウマチの初発は30~50歳の女性に多いわけですが、高齢化社会がすすみ高齢発症の関節リウマチ患者も増加の印象です。しかしながら加齢による変化と患者自身や医療従事者も誤解し、適切な診断・治療がされず看過されているケースもしばしば経験します。遷延する手指の痛みなどあれば、一度リウマチ外来での専門的評価が望まれます。