立川病院

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肺炎などの呼吸器感染症

呼吸器内科

他人事ではない! 変化する感染症の脅威と、私たちにできること

「若い頃は病院なんてほとんど行ったことがなかったのに…」。これは、外来で患者さんからよく耳にする言葉です。確かに若い頃は体力があり、多少の無理も利き、病気とは無縁だったかもしれません。
しかし、年齢を重ねたり、知らず知らずのうちに持病を抱えたりすることで、私たちの身体は感染症にかかりやすくなることがあります。特に肺炎は、注意すべき疾患の一つです。

気づかぬうちに高まる肺炎リスク

肺炎は、かつて「老人の病気」というイメージがあったかもしれませんが、決してそうではありません。
もちろん、高齢であること自体が肺炎のリスクを高める大きな要因です。
しかし、それ以外にも、慢性心疾患(心不全や狭心症など)、慢性呼吸器疾患(COPDや喘息など)、糖尿病といった持病をお持ちの方、喫煙習慣のある方、慢性腎不全で透析を受けている方、がんなどの播種性悪性腫瘍の治療中の方、そしてステロイドや免疫抑制薬を使用している方は、免疫力が低下しやすく、肺炎にかかるリスクが格段に高まります。
これらの要因は、一つひとつが肺炎への扉を開く鍵となり得るのです。
自分はまだ若いから大丈夫、と思っていても、これらのリスク因子に心当たりがある方は注意が必要です。

「かからない」ための選択 – ワクチンの重要性

病気になってしまった場合、早期発見、早期治療が重要であることは言うまでもありません。
しかし、もっと大切なのは、「そもそも病気にかからないようにする」ことです。近年、幸いなことに、インフルエンザや肺炎球菌以外にもRSウイルスなど、いくつかの呼吸器感染症に対して有効なワクチンが開発され、予防という選択肢が現実的になってきました。
「ワクチンで予防できる病気は、ワクチンで予防する」。
これは、現代医療が私たちに与えてくれた大きな恩恵です。
せっかく予防できる手段があるのに、それを利用せずに感染症にかかり、入院を余儀なくされたり、辛い後遺症に苦しんだりするのは、あまりにも勿体無いことだと思いませんか。
主治医と相談し、ご自身に推奨されるワクチン接種を検討することは、自分自身を守るための積極的な行動と言えるでしょう。

変化する感染症の現状 – 油断できない理由

近年、A群溶連菌感染症、マイコプラズマ肺炎、百日咳といった様々な感染症が、周期的に、あるいは不規則に流行を繰り返しているのを皆さんも耳にすることがあるのではないでしょうか。
さらに深刻なのは、これらの感染症を引き起こす細菌に対して、従来の抗菌薬が効きにくくなる「耐性菌」が出現し、増加しているという問題です。
耐性菌による感染症は治療が難しく、重症化するリスクも高まります。
また、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックを経験する中で、私たちは感染症の恐ろしさや社会への影響の大きさを目の当たりにしました。
そして、コロナ禍以前にはあまり見られなかったような重症例が他の感染症でも報告されるようになり、疾患ごとの流行サイクルも短くなっている印象があります。
こうした状況を踏まえると、今後も私たちが予期せぬ新たな感染症の大流行に直面する可能性は、決して低くないと考えられます。

身近に迫る脅威 – 麻疹の流行を例に

その一例として、直近では麻疹(はしか)の流行が懸念されています。
麻疹は感染力が非常に強く、空気感染もするため、時に重篤な合併症を引き起こす可能性のある疾患です。
驚くべきことに、今年の麻疹の発生件数は、直近わずか1ヶ月で、昨年1年間の総数をすでに上回っているという報告もあります。
これは決して他人事ではありません。海外との往来が活発化する中で、いつ自分の身近で流行が起きてもおかしくない状況です。こうした感染症の最新情報は、各自治体の保健所のホームページなどで公開されており、誰でも簡単にチェックすることができます。
正しい情報を入手し、冷静に対応することが重要です。麻疹の場合、2回のワクチン接種が有効な予防策となりますので、母子手帳などでご自身の接種歴を確認してみるのも良いでしょう。

私たちにできること – 未来への備え

「自分は大丈夫」という過信は禁物です。
感染症は、いつ、誰がかかってもおかしくありません。大切なのは、日頃から感染症に対する正しい知識を持ち、予防意識を高めておくことです。
ワクチン接種の検討に加え、手洗いや咳エチケットといった基本的な感染対策を習慣化することも、自分自身だけでなく、周りの大切な人々を守ることに繋がります。
また、バランスの取れた食事、質の高い睡眠、適度な運動を心がけ、免疫力を維持することも重要です。

おわりに

変化する感染症の脅威に対し、私たちは賢く備える必要があります。
最新の情報に関心を持ち、予防できることは積極的に行う。そして、万が一感染してしまった場合に備え、信頼できるかかりつけ医を持っておくことも安心に繋がります。
この積み重ねが、皆さんの健康な毎日を守る力となるはずです。
自分自身と大切な人のために、今日からできる予防を始めてみませんか。

読み上げ音声1 ※上記テキストの読み上げ音声が再生されます。

この音声は動画制作会社VIDWEBのボイスゲートを利用しています

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