転んで手をついて手首を骨折した!
身近な方、もしかしたらご自身が経験された事がある方も多いのではないのでしょうか?“手首の骨折”といっても色々と種類があるのですが、なかでも最も多いのが“橈骨遠位端骨折 (とうこつえんいたんこっせつ)”です。
前腕の骨は2本ありますが、親指側の太い骨である橈骨が手首のところで折れる骨折です。強い疼痛と急速に広がる腫れが症状です。老若男女を問わずこの骨折はおこりますが、中年以降の女性の場合は、骨がもろくなっているため軽微な外力で折れてしまう事があり、特に頻度が高いです。次の骨折を起こさないためにも、骨折の治療に加えて骨粗鬆症の治療を開始する事をお勧めします。
橈骨遠位端骨折の治療法は?
“痛み”や“動きが悪い”といった後遺症をなるべく残さないためには、骨折した橈骨の形を元通りに近い形に戻して治す事が非常に大事です。
かつては大部分の症例で保存療法(=ギプスで治す治療)が行われてきました。現在でもズレの少ない症例や徒手整復後に良好な整復位が維持されている症例、多少のズレがあっても矯正力が期待できる小児の症例では手術をしないで治す保存療法が第一に優先されます。
ここ10数年の医療技術の進歩により、比較的重症の症例でも手術をしてより早く、完全に元通りとは言えないまでも、なるべく元の手首の状態に近づけて治す事が安定して出来るようになってきました。“何とか使える”程度に治す事から“より良く使える”ように治す事を目指しています。
4-5cm程度の傷で骨折部を可能な限り元の形に直して、非常に薄いチタン製のプレート(ロッキングプレートといいます)を埋め込んで固定する方法でおおむね1時間以内で可能です。
現在では多くの施設でこの方法で手術が行われていますが、なるべく手外科を専門とする医師のもとで手術をされる事が推奨されます。
また変形して骨がくっついてしまった後でも、変形を矯正する手術を行い機能を回復させる事も可能です。あきらめずに是非専門医にご相談ください。