立川病院

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お腹がん

なぜ子宮頸がん検診を受けるべきなのか?

産婦人科主任部長 平尾 薫丸

なぜ子宮頸がん検診を受けるべきなのか?

「子宮頸がん検診の結果、医療機関への受診が必要です。」このような通知書が郵送されて不安なまま病院に受診する。職場や地域の検診の後にこういう経験をなさった女性の方は結構いらっしゃるのではないでしょうか?“がん検診”なので驚かれてしまいますが実際には“異形成(いけいせい)”という診断に到ることが多いです。

20歳から39歳の女性は、子宮頸がんの罹患率が1990年の30.8(人/対人口10万)から2010年の63.0に倍増しているという報告があります(地域がん登録全国指針によるがん罹患データより)。粘膜表面にとどまる「前がん病変」の段階である“子宮頸部異形成”を早めに見つけ出して診断・治療することがより大事になってきています。子宮頸部異形成は軽度→中等度→高度と段階的に進展し、さらに浸潤癌へと進展していきますが、一方で軽度や中等度の中には治療を行わず経過中に自然消失する場合があることも知られています。したがって現時点でどのような段階かを診断して、今すぐ治療が必要なのか、しばらく定期的な細胞診検査を行い経過観察していくのか、判断していくことが大事です。

診断を確定するために、拡大した視野で粘膜の表面の状態を詳細に見るコルポスコピーと、コルポスコープによる観察下で病変が疑われる部位の上皮を実際に一部採取する狙い組織診を行います。ハイリスク型ヒトパピローマウイルス(HPV)の感染は進展するリスクの一つと考えられ、HPV検査を行う場合もあります。その他にも喫煙や年齢・免疫など、様々な要素がリスク因子と考えられています。定期的な経過観察の方針となった場合には数ヶ月ごとにがん検診で行ったような細胞診で評価していくことが多いです。以前は日母分類という数字で結果を表示していましたが、現在はベセスダシステムという実態をより正確に表現した評価方法が導入されています(ASC-US, L-SIL, ASC-H, H-SIL, SCC, AGCなど)。必要な場合にはもちろんコルポスコピーや組織診を組み合わせて評価します。

高度異形成に進展した症例、中等度以下でも長年消失しない症例では治療の対象として考えます。当院では超音波メスまたはレーザーメスを使用した円錐切除術や蒸散術などで治療を行っています。もしがん検診で医療機関受診を指示されても、慌てず怖がらず、まず婦人科を受診して、しっかりと診断を受けて頂き、十分に医師の説明を受けて頂くようにお願いします。また経過観察の方針になった場合には途中で受診を中断しないようにお願いします。我々も受診された皆様の不安に寄り添い支える診療に努めて参ります。