立川病院

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お腹がんその他

胃・食道の手術後の食事について

消化器外科 筒井 麻衣

1)手術後、食べられなくなってしまいますか?

胃癌、食道癌で外科手術をすることが決まった患者さんが、まずお聞きになられる質問の1つです。
胃は食べ物を溜め、食道は通す臓器ですから、食事に影響があることが容易に予想されますね。

どの程度の切除をするか、手術の後の合併症(縫合不全など)により多少は異なりますが、確かに、手術前と全く変わらない食生活を送ることは難しいです。
ただし、食事のとり方や内容を工夫することで、ほとんどの患者さんが、手術後半年から1年経過すると、日常生活に支障のない程度で、食事をとることが可能になります。

2)食事のとり方

胃・食道の手術後には、1日に必要なカロリーを、3回ではなく、5回程度で充足するように食事をとります。
具体的には、1回の食事量を少なくし、30分以上かけゆっくりよく噛んで食べ、食後は1時間歩くことで、消化管の蠕動を促します。摂取が少ない場合には栄養補助食品などを追加します。
どうしても詰まりやすい麺類は術後1年は控えることをおすすめしています。

3) 立川病院での取り組み

2022年度から、胃・食道の手術を受ける患者さんに対して、医師および管理栄養士が連携して術前、術後における適切な栄養管理を行うプログラムをスタートしました。
栄養指導として、術前・術後・退院後初回外来の最低3回行ない、術後1年まで、最低7回の栄養指導が行われます。

手術前には術後の流動食を始めるまでの注意点と食事のイメージを説明しています。手術の翌日から飲水を開始し、食事は術後3日目から流動食半分量から開始、2日ごとに食事をだんだん固いものとしていき、15回の全粥食で退院としています。

このプログラムを開始して2年経過しますが、幸い「手術の影響で食事が食べられない」理由での再入院は1例もありませんでした。

手術前、退院日、外来通院時の栄養指導は、ご家族と受けていただく方がほとんどで、患者さんの要望にしたがって、追加の指導を予約することもあります。
患者さん、ご家族、医師、栄養士などが協力して、回復に向けた取り組みができている証だと考えています。