足が冷える、歩き続けているとふくらはぎが痛くなる
足の動脈の血の流れが悪くなっていることが原因かもしれません。いわゆる動脈硬化症です。高血圧、糖尿病、脂質異常症(コレステロールが高い、中性脂肪が高い)、喫煙などが危険因子となります。脳血管病変(脳梗塞)、心血管病変(心筋梗塞、狭心症)を合併し生命のリスクが潜在していることもあります。足の動脈硬化の最初の症状は足先の冷え、しびれなどで、進行してくると血流不良による歩行時のふくらはぎの痛み、太ももや、お尻の筋肉痛などがでてくるようになります。この歩行時痛は休息すると改善し、また歩けるようになるので、間欠性(かんけつせい)跛行(はこう)と言われます。さらに悪化すると、足の趾(ゆび)が白くなって痛くなったり、皮膚(ひふ)潰瘍(かいよう)、壊疽(えそ)になったりすることもあります。糖尿病や、腎不全で血液透析をしている方などでは、足の潰瘍や壊疽で発症することもまれではありません。
まず、危険因子のコントロールが必須です。喫煙されている方は禁煙してください。血圧は大丈夫ですか? 血糖コントロールはできていますか? コレステロール値は正常ですか? 大事なことは、足の動脈病変がある場合、命の危機に直面しているという自覚が必要なことです。
治療は、まず足部の保護、スキンケアを開始し、運動療法と薬物療法を併用し、改善が悪い場合には手術治療(カテーテル治療や外科手術)について相談します。
糖尿病の方は特に足部のケアが大事です。フットケア外来がある場合は積極的に利用すると良いでしょう。運動は散歩で十分です。1日30分を2回で良いでしょう。可能であれば階段歩行など負荷をかけることも有効です。ただし、心臓疾患のある方は必ず主治医に相談してください。薬物療法では血液をサラサラにする薬や、血管を広げる薬を使用します。手術もカテーテルを用い血管を内側から直す、傷や痛みの少ない治療も可能となってきています。
Q 足の痛みの原因がはっきりしません?
様々な原因が考えられますが多くは整形外科的な病気が原因となっています。脊柱管(せきちゅうかん)狭窄(きょうさく)などによる神経圧迫で動脈硬化と似たような症状が認められることがあります。動脈疾患による痛みの場合は、同じ条件では同じように痛みが出現することが多いです。たとえば、歩き始めてから痛みが出るまでの時間が毎回同じであるなどです。Q 薬だけでなおりますか?
冷えや、歩行時の足の痛み(ふくらはぎの痛み)は薬物療法によって改善することが期待できます。Q タバコはやめた方がいいですか?
喫煙することによって血管は収縮(縮む)します。このため、動脈疾患のある方はさらに足の血流が悪化してしまいます。また、喫煙は動脈硬化を進行させるリスク因子の一つです。治療開始前に、かならず禁煙することをお願いしています。
Q 足の切断になることがありますか?
病状によりますが危険性があります。下肢切断率は、歩行時の下肢痛(間欠性跛行)といった比較的軽い症状の方では5年間で5-10%、安静時痛や潰瘍壊死を発症している場合は5年間で30%程とされています。さらに、それぞれの死亡率も切断率と同程度からそれ以上ですので、全身の動脈硬化の進行予防と治療は必須です。