立川病院

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とびひ(伝染性膿痂疹)(impetigo)

皮膚科 田中 諒

疾患の説明

とびひは、正式には伝染性膿痂疹(impetigo)と呼ばれる浅い皮膚の細菌感染症です。
特に夏場に多く、幼児や小学生などの子どもに発症しやすい病気です。
小さな傷や虫刺され、アトピー性皮膚炎などのかき壊し部分に感染し、「飛び火」のように広がることが特徴です。

原因

原因は細菌感染です。菌の多くは黄色ブドウ球菌で、A群β溶血性連鎖球菌(溶連菌)のこともあります。
年齢や感染の範囲、原因菌に応じて治療法を選択します。

治療開始前に注意する点

• アトピー性皮膚炎の有無
• 過去に耐性菌(MRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌))が検出されたことがあるか
• 幼稚園・学校・家庭などで他の罹患者との接触があったか

病型

とびひは水疱性膿痂疹と痂皮性膿痂疹に分けられます。

• 水疱性膿痂疹
黄色ブドウ球菌が原因で、水ぶくれ(弛緩性水疱)ができ、破れるとただれやかさぶたになります。
近年では、16〜30%が耐性菌によるものであり、多くは市中感染型(CA-MRSA)と考えられています。

• 痂皮性膿痂疹
溶連菌、または溶連菌と黄色ブドウ球菌が共に感染することで起こり、膿疱・びらん・厚いかさぶたを伴います。
発熱やリンパ節の腫れ、喉の痛みなどの全身症状を伴うこともあり、まれにその後、腎臓の障害(急性糸球体腎炎)が生じます。

検査

1. ブドウ球菌性熱傷様皮膚症候群
乳幼児に多く、発熱と全身の皮膚の剥離を伴う重症の細菌感染です。口のまわりの放射状のひび割れや、軽くこする刺激で皮膚がめくれるサインが出るのが特徴です。

2. カポジ水痘様発疹症
アトピー性皮膚炎がある人に起きやすいウイルス感染です。顔や首に小さな水ぶくれ、かさぶたが多く出現します。
とびひと異なり、1つ1つの水ぶくれやかさぶたの大きさがおおむね均一で、痛みを伴うことがあります。細菌感染ではなく、ウイルス感染(単純ヘルペスウイルス感染)です。

治療

1. 限局例(体表面積2%以内)
抗菌薬軟膏(ナジフロキサシンまたはフシジン酸)を塗布します。特にナジフロキサシンはCA-MRSAにも有効で、耐性菌誘導が少ないため推奨されます。

2. 広範囲例・全身症状あり・再発例
内服抗菌薬を使用します。メチシリン感受性黄色ブドウ球菌(MSSA)には第1世代セファロスポリン、溶連菌にはアモキシシリンなどが有効です。
CA-MRSAの場合はST合剤などが使用されることがありますが、ST合剤は皮膚感染症に保険適応がないことに注意が必要です。
地域によって耐性菌の傾向が異なるため、培養結果や地域のアンチバイオグラムを参考に薬剤を選択します。

日常生活での注意点

• 石けんを使って毎日全身を洗浄しましょう(消毒は不要)。
• 病変部には抗菌薬軟膏を塗り、ガーゼで覆って保護します。病変部に細菌が多く存在するため、その部位をかき壊したり、他人が触れると感染ることがあります。触らないように注意しましょう。
• 被覆できる場合は登園・登校が可能です。被覆しきれない場合は治るまで休ませます(学校保健安全法による)。
• プール・水遊びは治癒するまで禁止です。





参考文献参考文献
1. MRSA感染症の治療ガイドライン作成委員会. MRSA感染症の治療ガイドライン 2017年改訂版. 日本化学療法学会雑誌 2017; 65: 323–425.
2. 田中麗子, 和田康夫. 過去13年間の当院における伝染性膿痂疹333例の統計学的検討. 皮膚病診療 2019; 41: 482–487.
3. 三井田博ほか. メチシリン耐性黄色ブドウ球菌が分離された伝染性膿痂疹の臨床的検討. 臨床皮膚科 2001; 55: 1005–1007.
4. 延山嘉眞, 新村眞人. 伝染性膿痂疹の臨床的・細菌学的検討. 臨床皮膚科 2004; 58: 83–85.
5. Galli L. et al. Pediatric impetigo: an expert panel opinion about its main controversies. J Chemother 2022; 34: 279–285.

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この音声は動画制作会社VIDWEBのボイスゲートを利用しています

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