健康診断と人間ドックの違いとは?
「健康診断」という言葉は、広い意味から狭い意味まで幅広く使われ、その使われ方で意味合いも違ってきます。広い意味での使われ方として、健康な方、無症状の方が受けられる検査やその結果に基づく診断を総称して「健康診断」と呼ぶことが多く、そうした意味では「人間ドック」も「健康診断」の一つと考えることもできます。
狭い意味での「健康診断」の中には、法的義務のあるものを指すケースがあり、ここでは法的義務のある「健康診断」を「健康診査」として話を進めてみます。
「健康診査」は対象者や目的ごとに複数の実施主体により、異なる法制度のもとで行われています。例えば、労働者に対して労働安全衛生法に基づいて事業者が行う「事業主健診」、40~74歳までの方に対して高齢者医療確保法に基づいて保険者が行う「特定健診」、地域住民に対して健康増進法に基づいて各自治体が行う「がん検診」等があります。いずれの「健康診査」も健康増進のために主体的な取り組みを促進する観点から実施され、病気の発見・治療につながるものですが、制度のわかりにくさが難点となっています。また、実施頻度や検査項目は法律で決められています。
一方「人間ドック」は個人の意思で受診するため、実施時期や頻度は自由に決められます。定期的に受診することで自覚症状のない病気の早期発見や早期治療につながります。「人間ドック」の基本的な検査項目は各医療機関で決められていることが多いのですが、「健康診査」と比べて詳細な検査内容となっていることがほとんどです。また、一般的には希望する検査をオプションで自由に追加することもできます。
例えば、当院「人間ドック」のオプション検査であれば、『過去に喫煙していたので肺のCT検査を受けたい』、『親族に大腸癌が多いので大腸の内視鏡検査を受けたい』、『心臓に不安があるので心臓機能検査を受けたい』、『最近おなか周りが気になるので内臓脂肪CT検査を受けたい』、『季節によって鼻水が出やすくなるのでアレルギー検査を受けたい』等のご要望に応えることもできます。もちろん基本コースでも充実した内容の検査をご用意しています。
尚、「人間ドック」を保険者等から補助を受けて受診する場合は、実施時期や頻度だけでなく、検査項目に制限が出る場合もあります。
「人間ドック」は、日本では1950年代半ば頃に始まったとされています。この時代は日本が高度成長期に入ろうとする時期にあたり、当時の日本では造船業で世界をリードするために、船の建造を行う造船所に加え、船のメンテナンスや修理を行う「ドック」が各所で就業されていました。そのような時代背景の中、船だけでなく、人間のメンテナンスや健康維持・回復を行う意味合いで「人間ドック」が登場してきたと考えられます。
「人間ドック」は広い意味での「健康診断」の一つであり、豊富な検査項目に希望するオプションを追加することで、受診する方に合わせた身体のメンテナンスを行うことができます。「人間ドック」をきっかけに健康を考えてみませんか?